インボイス制度はなぜクソなのか

インボイス

インボイス制度開始まであと約半月。

いろいろインボイスの注意点について語ってきましたが、あえてこのタイミングで「なぜインボイス制度はクソなのか」という内容で語りたいと思います。

今さら反対したってどうしようもないし、今さら「インボイスはなかったことにしまーっす!」って
言われても困りますが、まぁ言いたいことは言っとこうかなという程度のものです。

やたら騒がれている側面の1つとして、個人事業主(免税事業者)のデメリットが大きいというのがありますが、私個人が置かれている状況においては、あまり影響がないことですし、既に多くの方が語っていらっしゃるので敢えてここでは触れません。

そうすると、自ずと問題はもう一方の事業者となります。

課税事業者の手間が増える。

これに尽きます。

インボイス制度の目的

端的に言えば、税収のアップです。
国税庁が主体となり、消費税増税以外の手段で消費税による税収をアップさせるのが目的です。

単に税率をあげるとなると、世論の反発からは免れられません。
しかし、これを事業主を主体に置いた制度改革にしたらどうでしょう?
一般消費者の負担が直接的には感じられないため、一般消費者からの反発はかなり抑え込めます。

しかしながら、間接的にとはいえ、事業主の負担が増えるということは、巡り巡って消費者の負担増につながります。ほんと、汚ぇやり方です。

IT導入補助金の目的

急に何?と思われた方がいるかと思いますが、ここ数年中小企業庁が主体となり「IT導入補助金」制度があり、企業はかなりオトクにITツールを導入することが可能になりました。

IT導入補助金は正式名称を「令和4年度第二次補正サービス等生産性向上IT導入支援事業」と言います。

「ITを導入して生産性を向上しましょう☆」という触れ込みです。

おい、、おい!!!

中小企業庁では「生産性向上」を目指している一方、国税庁はややこしい制度で生産性を下げつつ税収をアップさせようとしています。

一貫性に欠けますよね。

インボイス制度が生産性を下げるポイントは何なのでしょうか?

インボイス制度が生産性を下げるポイント

相手が免税事業者かどうかをいちいち確認しないと行けない。

今までは簡単なレシートや領収書ひとつで経理処理ができていました。
しかしながら、制度開始以降はそうとはいきません。

ひとつひとつの領収証や請求書に対して
「これは適格請求書……。」
「これは簡易適格請求書……。」
「これは適格返還請求書……。」
「これは免税事業者からの請求書……。」
「これは先月まで免税事業者だったけど今月から課税事業者になった会社からの請求書……。」
「これは今月から免税事業者になった会社からの請求書……。」
などと、かなりの判断を求められることになります。

何の仕事よ、これは?

消費税の計算方法が限定される

今までの消費税計算方法は、明細1つ1つに対して税率をかけてもいいですし、合計金額に対して税率をかけてもいい、どちらかやりやすい方法でやればいいという比較的柔軟なルールでした。

制度開始以降、合計金額に対して税率をかけるというやり方しか認められなくなりました。

明細に対して税率をかける方法しかできないシステムは使えなくなるわけです。

レシート、領収書など、結構ざっくりな情報で経費精算できていたものについてもインボイス対応を求められるようになるので、出先で仕事をすることが多い営業なども事務の手間が増えてしまいます・

業者の代わりに代理で請求書を発行したり、支払通知書を元に請求としたり、今まで簡易的に出来ていたことが出来なることが非常に面倒になります。

経過措置の対応

免税事業者からの仕入をした課税事業者は、その分仕入税額控除が出来なくなるので
負担が増えてしまいます。
「でも、負担が急に増えたらヵヮィソゥ……。」というあったか~いお国の気持ちで
・最初の3年は80%控除できるょ
・そのぁと3年は50%……ネ
・それがォヮッたら全額控除不可だょ
ということになりました。

まず、税制のルールが変わるタイミングって非常に面倒。
幸い、消費税率の改正はそんなに頻繁ではないのである程度受け入れられます」
ただでさえ変えてほしくないところを3年単位で変えてくる、愚の骨頂です。
3回も変化を乗り越えないといけないのです。
いっそ、最初から全額控除不可になってくれた方がよかった。

免税事業者を苦しめるかどうかの判断は、取引先に委ねられる。

前提として、唯一無二の仕事をしている免税事業者はインボイス制度に苦しみません。
なぜかというと、唯一無二なので、取引先に対して強い態度で通せるからです。

ただ、そんな事業者はそう多くはありません。
ほとんどが取引先(仕事の依頼主)が強い立場にあります。

免税事業者であることで、同等の仕事が出来る業者との価格競争力が落ちます。
同じ値段で同じ仕事であれば、課税事業者に仕事を依頼した方が得だからです。

そうなってしまうと困るので、免税事業者だった方は課税事業者になるか値段を下げることを考えざるを得ません。

すべての取引先が「そのままでいいよ」って言ってくれたら何も問題はないのですが、
取引先だって利益を確保したいのでいろいろ考えます。

結果、免税事業者への風当たりが強くなってしまうことは避けられません。

国の制度で負担が増える増税とは違い、取引先の力関係によって負担が増えてしまう、
業者いじめを進めてしまうような制度なのです。

最後に

軽減税率制度が出来たときには「なんと面倒な制度を……。」と思った物ですが
インボイス制度はその5倍以上面倒な制度です。

手間を増やして業務が非効率化し、バックオフィス業務だけではなく本業にも悪影響を及ぼすひどい制度だと思います。

ただ、今さらどうにもならないと思うので、決まったことはできる限りやりたいと思います。

正直なところ、多くの中小企業は完全対応が難しい、というかそこまできっちりやらないのではないかと思います。
税務署の監査が入ったところで、そんな細かいところをつつかない(大抵、それ以外の別の問題が出てくる)ので細かく見られないんじゃないかと思います。

なんというか、実務経験がない人がルールを作るとこうなるんだろうなぁと思います。

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