最近バックオフィス業務業界を賑わしているのはインボイス制度と電子帳簿保存法(電帳法)
インボイス制度はこちらの記事で書きましたが、もう一つの電子帳簿保存法についても説明しようと思います。
電子帳簿保存法とは
細かい歴史の話はしませんが、ずっと前からあった法律のひとつです。
今までも改正を繰り返してきましたが、なぜ今回の改正はこんなにも話題になっているのでしょうか。
改正内容による理由が2つ
・制度の緩和
・一部義務化
それと、周りを取り巻く事情による理由が2つ
・コロナ禍におけるテレワークの増加
・インボイス制度との関連
加えて、なんだかよくわからない、難しいというのが混乱を招き話題になっている原因の一つです。
しかし、こちらの記事では最低限の「義務化」の部分をどうするかについて説明したいと思います。
制度の緩和
さらっと、電帳法の制度緩和部分について説明したいと思います。
先に述べたように電帳法はかなり前からある法律です。
基本的に会計にかかる帳簿は紙での保存義務があります。
しかし大量にそれらを印刷して保管しておくのは大変!紙ももったいない!
それを電子的(デジタル)で保存しておいてもいいですよ、というのが電帳法のメインです。
昔までは事前に所轄税務署の承認が必要でしたが、今回の制度改正では不要になりました。
これはあくまで、やりたい人がやればいいだけなので、無理に今までのやり方を変える必要はまったくありません。
紙という物理媒体が必要なくなるので、テレワークが進んだ時代に即した緩和といえます。
「電子取引データ保存」の義務化
今まで、電子的に取引していた請求書などのデータは、印刷して保管しておく必要がありました。
紙でもらったものは紙、電子でもらったものも紙。
それが今後は
紙でもらったものは紙、電子でもらったものは電子。
という具合に変更されます。
なぜこんなルールになるかというと、基本的に電子データは紙に比べて改ざんが容易です。
経理データの元になる証憑が改ざんし放題だったら脱税し放題になってしまいます。
そこで、電子データで受け取った請求書類はそのまま電子データのまま保存しましょう、という目的に則った改正内容となります。
例えばどのような物があるかというと
・メールで送られてくる請求書
・楽楽明細などの請求システムにて発行される、ダウンロードするタイプの請求書
・Amazonで購入したときの領収メール
・サブスク契約などの引き落とし明細
などなど多岐にわたります。
どのように準備したらいい?
保存要件は下記の通りです。
・システム概要を記した書類の備付け
税務署の監査に入った人が保存されているシステムの使い方をわかるようにしておきましょう。
・見読可能装置の備付け
データが見られるようにディスプレイを用意しておきましょう。
この要件いる??
「ここの保存してあるが選ばれし者しか見ることができない」みたいなの言う人いる?
・検索機能の確保
いつ、誰から、いくらの請求書が来たのかが検索できるようにしておきましょう。
・真実性の担保
はい、これがやっかいです。
改ざんされていないことを証明するために、タイムスタンプが必要です。
単なるファイルの更新日付ではなく、正当に認められたシステムによって保証されたタイムスタンプの付与が 必要となります。
これには専用のシステムを導入するほかありません。
しかしそんなことはやってられません。
そこで、簡単な方法も用意してあります。
「不当な訂正削除の防止に関する事務処理規程を整備・運用する」
つまり「勝手に直しちゃだめなのよ~♪」と書いた社内規定を用意すると言うことです。
しかもその規定のサンプルは国税庁のWebサイトにて公開されています。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm
保存する方法
何でもいいっちゃいいのですが、例えば社内サーバーの共有フォルダーに請求書フォルダーを作り
年度ごとのフォルダーを作りましょう。
ファイル名のルールも作ります。
例)日付相手先名金額.pdf
20220922_株式会社あいうえお_123456.pdf
もしくは、ファイル名はざっくりで、対応するリスト(目次)をExcelなどで作る方法でもOKです。
まとめ
やればいいのは
・事務処理規程の準備
・保存方法を決める
この2つだけです。意外と簡単でしょう。
この義務化は本来2022年1月から施工される予定でしたが、寸前になって
「全然みんな準備できてねー」ということで宥恕(ゆうじょ)となりました。
猶予じゃなく宥恕です。
宥恕とは「寛大な心でゆるすこと」だそうです。何様や。
ということで2024年1月までは寛大な心で許していただけるとのことですが、
直前の2023年10月にはインボイス制度の施行が控えています。
インボイス制度で混乱しているところで電帳法までやろうとすると大変なので
余裕を持って電帳法対応は早めに行っておきましょう。